3月22日訪問。 先日のオフ会で体験した至福の味わいをもう一度。 ということで、友人を伴い、十日ぶりにこのお店にやって来ました。 前回は酒宴のついでのラー食でしたので、今回はラーメンそのものをしっかりと味わいたいと思います。 早閉まいの心配もあるので、事前に電話で予約を入れておきます。 2回目の訪問なので、両国駅より迷わずに道のりを進み、蔵前橋通りから知らなければ見過ごしそうな路地へ入り、すぐにお店の出現です。 12時半を少し過ぎた頃でしたが、店頭にはすでに準備中の立て札が。 予約入れておいてよかったです。 店内へ。 気風のいい親父さんを筆頭に、奥さん、娘さんが和やかに迎えてくれます。 多少雑然とした空間ですが、温もりがありますね。 オーダーは『おだ亭らーめん』を。 親父さんが楽しそうにゆでる前の麺を持ってきて、肘でつぶしてコシの強さを確かめさせてくれます。 先日伺った旨を告げると、満面の笑みを浮かべて喜んでくれました。 さて、親父さんの楽しいお話を伺いながら、オーダーの到着を待ちます。 地元の常連と思われる家族連れの先客が和やかに食事をしています。 晴天の週末の昼下がり。 ほのぼのとしますね。 10分少し過ぎた頃にオーダーがやって来ました。 『おだ亭らーめん』は本来、回鍋肉をのせたラーメンですが、まずはラーメンを味わってほしいということで、回鍋肉は別皿で供されました。 ラーメンはオーソドックスな中華そばスタイルですね。 では、スープから。 レンゲでひとすすり、と。 う〜ん、すばらしい。 基本的にあっさりした清湯系のしょうゆスープですが、いろいろと素材が投入されていることが窺える味わいです。 親父さんに伺ったところ、豚骨、豚足、鶏がら、かつお節、昆布などで採ったスープだということです。 動物系のだしが奥深いうまみとコクの基盤を成し、ほのかにジューシーな甘みも感じます。 魚介系だしは控えめな主張で、ふんわりと口中に広がります。 獣臭さ、魚臭さなど微塵もありません。 塩角は少々立っていますが、嫌味になるほどではありません。 なにかの素材の味わいが突出することなく、真円を描くようにまとめあげられた完成度の高い味わいです。 シンプルながら滋味深く、まったく飽きの来ないスープで、スルスルといくらでも飲めてしまいます。 美味し! さあ、お楽しみの麺にいきましょう。 青竹を用いて5時間かけて打たれるという、ピロピロした中太の平打ちちぢれ麺です。 麺幅がやや不揃いなところが手打ちらしいですね。 ちぢれ麺ですから、すする時の感触が楽しいです。 豊潤な小麦の風味感が口中にあふれます。 そして、なによりもその食感。 柔らかいとも、硬いとも異なる独特のものです。 ふんわりしていながら、一定の歯応えが麺を噛み切るまで持続します。 これがコシというものなのですね。 機械打ちや、凡百の手打ちでは絶対に体験できないコシです。 麺帯を畳んでは延ばし、畳んでは延ばし。 時間をかけて延々と繰り返される作業により、親父さん曰く百層には及ぶであろうという高密度な麺になるわけです。 密度の濃い麺なので、スープに浸っていてもまったくダレることはありません。 スープとのなじみも抜群で、麺とスープの一体感は極上。 この味は他のお店ではまずお目にかかれないですね。 ひと口、ひと口、しっかりと噛みしめながら味わいます。 しみじみと、美味し! 具材はチャーシュー、メンマ、刻みねぎとシンプルな構成。 チャーシューは煮豚ではなく、焼豚。 焼きの入った縁が香ばしく、しっかり染み渡った味つけは抜群。 適度に噛み応えのある食感で、肉そのもののうまみが生きています。 メンマはシャクシャクした適度な食感で、薄めの味つけでおいしいです。 刻みたてのねぎはフレッシュで、絶妙の薬味感と清涼感をスープにもたらしていました。 さて、回鍋肉にも触れておきましょう。 炒め具合は抜群で、しっかりと火が通っていながら、素材の食感はキープされています。 自家製(!)という炒め油はサラリとしており、まったくしつこさがなく、市販品にはありえない甘みがあります。 親父さんのオススメで、麺を半分ほど食べたところで回鍋肉をどんぶりに投入します。 すると、炒めた具材の香味と炒め油の甘みがスープに溶け出し、またひと味違う味わいが楽しめました。 文句のつけようがない完璧な一杯でした。 親父さんによれば、昭和十年代の浅草ラーメンの味わいだということですが、古びた感はまったくありません。 現在のこだわり系のラーメン屋でもとても出せない、唯一無二の味わいです。 当然無化調なので、後味もすっきり。 うまみの余韻だけが心地よく感じられます。 至福のラー食ですね。 長年の重労働ですっかり体を傷めているという親父さん。 医者にはもう止めろといわれているとのことです。 このお店の歴史にはもう残り時間は少ないでしょう。 お店をたたむ前に出会えて、本当によかったです。 ありとあらゆる味が存在するラーメン界ですが、このお店のものは国宝級のラーメンです。 いつまで食べられるか分かりませんが、可能な限り再訪は必至です。